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弁護士コラム
Column

養育費の代わりに住宅ローンの支払い?

2019年06月14日
津島事務所  弁護士 加藤 耕輔

こんにちは。津島事務所の加藤耕輔です。離婚のご相談の際,よく耳にする話として,「住宅ローンを養育費の代わりとして夫に支払ってもらう」という話があります。妻と子は,そのまま自宅に住み続け,夫の側で妻と子が住む自宅の住宅ローンを支払い続ける代わりに養育費はなしとする,というお話です。こうしたお話を聞いたとき,いつも,私は「お勧めしない」とお伝えしています。まず,住宅ローンを借りている金融機関等との関係で問題があります。金融機関は,住宅ローンの名義人である夫が自宅に住み続けることを前提として,住宅ローン審査を通しています。そのため,住宅ローン契約書に,住居移転等の場合に連絡・許可等を求めるという条項が入っている場合が多いかと思います。実際には,金融機関も,「返済してくれさえすれば・・」というスタンスで,あまり何も言ってこないことがそれなりに多い気はしますが,安易な判断は禁物です。また,離婚するとき,当事者は,数年先のことしか考えていないことが多いのですが(これ自体はしょうが無いかと思います),・住宅ローンを完済した場合,どうするのか。・夫が再婚して,再婚相手に相続権が発生した場合どうするのか。等,将来勃発しうる問題についても考える必要があります。いずれも離婚後,年月が経った後の話ですから,より関係も希薄になっており,新たな法的トラブルに発展するリスクは大きいかと思います。以上の理由から,私は,「養育費代わりに住宅ローン支払い」という形は「お勧めしない」とお伝えしています。もっとも,例えば,「お子さんが高校2年生であと2年間だけ環境を変えないようにしたい」といったケースのように,終期が確実な場合には,無償の使用貸借と養育費支払いという形や,場合によっては賃貸借契約を交わすことで,2年間だけ事実上「養育費の代わりに住宅ローン支払い」という形を取ることもありうるかと思います。実際に,過去に,数年間の賃貸借契約を交わして,お子さんが高校卒業するまで生活環境を変えないという形で調停合意した事案がありました。その際,賃貸借契約を交わすと借地借家法が適用されてしまい,夫側は不利な立場になりうるため,借地借家法の適用がない定期建物賃貸借(借地借家法38条第1項)であることを調停条項に盛り込んでもらったことがあります。  津島事務所 弁護士加藤耕輔