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弁護士コラム Column

相続放棄と遺産管理

2019年09月06日
津島事務所 弁護士 加藤 耕輔

 最近,相続放棄をされる方から,遺産(特に不動産や自動車)の管理についてどうすべきか相談を受けることが多いです。

 

 改めて,法律を読んでみると,民法940条に「相続放棄をした者は,次の相続人が管理するまで,自己の財産と同一の注意をもって管理しなければならない」との趣旨の条文があります。

 これによると,第一順位相続人(子)は,相続放棄をしても次順位相続人(直系尊属。ただし被相続人の親は亡くなられていることが多いため,被相続人のごきょうだい(又は代襲相続人)となることが多いでしょう)が遺産の管理を始めるまで,(注意義務の程度としては低いものの)一応の管理はする必要はあることになりそうです。

 

 ただ実際には,第一順位の相続人が相続放棄する場合には,次順位相続人も相続放棄をすることが多く,その場合には,最終的には,順次相続放棄によって「相続人が不存在」となります。

 前述の条文をみると,「次の相続人が管理するまで,・・管理しなければならない」とあるため,相続人が不存在となった場合に,この条文がどう解釈されるのか問題となります。

 

 相続人が不存在となった場合,法律上は,遺産の管理・処分を行う相続財産管理人の選任ができることになるため,「相続財産管理人選任をすれば良い」ということになりそうな気もしますが,実務上,管理人の選任には,選任申立ての時点で数十万円の予納金が必要とされることが多いため,現実にはなかなか難しいところがあります。

 

 特に最近は,被相続人の遺産に不動産があっても,老朽化した建物の解体費用を考えれば,ほぼ無価値であり,売却もできない可能性が高いという事案が多くなっています。

 民法が制定されたころには,土地も建物も高価な資産であったため,現在のこのような状況はおそらく想定されていなかったのかと思います。

 

 「遺産はあるが,価値がない」事案の相続財産管理人選任にかかる予納金(要するに管理人の報酬)に関する制度整備がなされないと,これから更に大きく深刻な問題になっていくものと考えています。

   

   津島事務所 弁護士 加藤耕輔

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