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弁護士コラム
Column

固定残業代(みなし残業代)特別ブログ連載③ 「トレーダー愛事件(京都地判平成24年10月16日労判1060号83頁)」

2020年09月15日
津島事務所所長 弁護士 加藤 耕輔

 固定残業代(みなし残業代)特別ブログ第3回目となります。

 今回は,月額給与を①基本給(14万円)と②成果給(13万円)とに分け,成果給は時間外手当に相当する旨の給与規程も存在したなかで,「成果給の中には基本給に相当する部分が含まれており,そのすべてを時間外手当であると認めることはできない」として,時間外労働賃金の請求が認められた事例をご紹介します。

 第1回のブログでは,
・固定残業代(みなし残業代)がすべて無効となることはない
・ただし、時間外割増賃金に該当する部分が明確に区別されていること
・明確に区別されていると会社側が主張する時間外割増賃金部分が,【実質的にも時間外手当としての性質を有していること】が必要
 であることの説明をしました。

 本事案では,「月額基本給14万円、成果給13万円」とされ,賃金規程でも「成果給はすべて時間外手当である」旨が定められている為,形式的には,「時間外割増賃金に該当する部分が明確に区別されている」といえそうです。

 もっとも,判決では,その実態までを吟味し,
 ①時間外労働の1時間当たりの時間外手当が基本給の倍であり,あまりにも基本給とのバランスを欠いていること,
 ②成果給は前年の成績に応じて決定され,時間外労働時間数とは無関係に決められていること,
 ③基本給はほぼ最低賃金に合わせて設定されており,最低賃金を上回る部分はすべて時間外手当であるとしていること
 などから,会社が定めている賃金体系は不合理なものであり,「実質的には」成果給の中に基本給と時間外手当が混在しており「区別されていない」として,成果給は,割増賃金の支払いにはあたらず,また割増賃金計算の基礎賃金に含まれるとの判断をしました。

 会社としては,割増賃金としての支払いとして認められないばかりか,割増賃金算定の基礎賃金にも含まれてしまい,ある意味「2重負け」を被っており,大きなダメージを受けたことと思われます。
 実態判断については明確な基準が示されない為,会社側としては,どのような判断がなされうるのか各種リスクを想定して固定残業代(みなし残業代)を制定する必要があるでしょうし,労働者側としては,往々にして素朴な「おかしい」という感覚が,実態判断の結論と同じであることも多いことから,おかしいと感じた際には,まず相談をされるのが良いかと思います。

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