弁護士コラム|医療法人の買収|名古屋新瑞橋事務所

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弁護士コラム
Column

医療法人の買収

2020年08月17日
名古屋丸の内本部事務所  弁護士 渡邊 健司

 テレビドラマ「半沢直樹」が人気を博しています。今期(2020年度)のドラマ前半では敵対的企業買収を巡るストーリーが展開されましたが,医療機関を経営する医療法人においてもこのような買収はあり得るのでしょうか? 株式を公開している株式会社については,現在の会社経営陣と敵対する勢力が株式市場において株式を取得し,過半数の株式を得ることで敵対的企業買収が可能となります(半沢直樹のストーリーも株式会社同士の買収でした。)。他方,医療法人の場合,公開の市場で支配権を取得する制度はありませんので,敵対する第三者が一方的に支配権を獲得することはできません。 もっとも,医療法人でも,取引によって買収(M&A)を行うことは可能ですし,現に行われています。医療法人のうち大多数を占める社団医療法人では,社員が株式会社における株主に相当しますが,社員から社員たる地位を取得することで医療法人の支配権を得ることができます。 従来は厚生労働省の解釈において社団医療法人の社員には自然人しかなれないとされており,法人が社員となることはできないとされていました。現在では,解釈が変更され法人も社員になれると解されていますので(ただし営利社団法人である株式会社は社員になれないと解されています。),親子会社のように医療法人が医療法人を買収することも可能と考えられます。 注意しなければならないのは,医療法人の社員は,社員総会において1人1票の議決権しか有しないという点です。これは株式会社において株主が保有株式数に応じて議決権を行使できることと大きく異なります。旧制度下で設立された出資持分のある医療法人でも同様で,莫大な出資を行った社員と,出資を行っていない社員とで,社員総会での議決権は平等に1票ということになります。したがって,医療法人を買収するためには,出資額等によらず,単純に社員数において多数を占めなければならないことになります。 医療法人のM&Aの手法は,医療法人の買収だけではありません。医療法上,医療法人の合併や分割が定められていますし,病院や診療所など個々の医療機関について事業譲渡の方法により経営権を取得することも可能です。さらにM&Aとは少し趣旨が異なりますが,地域医療連携推進法人制度によって,医療法人同士で緩やかな連携体制を構築することも可能となっています。今後医療機関の再編が進む中で,これらの手法を検討することも重要な経営戦略となるのではないでしょうか。 当事務所では,医療法人のM&Aについて,スキームの立案や,法務調査(デューデリジェンス),契約,実行等について法律的な側面から助言をしていますので,ぜひご相談いただければと思います。